ボード線図とは?読み方・書き方・利点を解説!

周波数応答と周波数解析

このページでは、ボード線図の読み方・書き方と利点について解説します。また、ゲインを表すデシベル値の読み方についても詳しく解説します。

このページのまとめ
  • ボード線図は、システムの周波数特性を表現する図
  • 振幅変化を示すゲイン線図と、位相変化を示す位相線図が2つセットになっている
  • 広い範囲の周波数に対する特性を分かりやすく表現できるのが利点
  • 複数のシステムが組み合わさった場合、個々のシステムのボード線図を足し合わせるだけでシステム全体のボード線図が得られるのも利点
スポンサーリンク

ボード線図とは

ボード線図は、システムの周波数特性を表現する図の一種です。周波数特性を表す図には様々なものが提案されていますが、ボード線図はその中でも最も広く用いられており、制御設計において非常に重要な役割を担っています。

周波数特性とは、「システムに様々な周波数のsin波を入力したとき、出力されるsin波の振幅と位相がどのように変化するか」を表すものでしたね。

周波数応答の概要図

ボード線図は、次の2つのグラフをセットで使うことで、様々な入力周波数に対する周波数特性を図式的に表現します。

  • ゲイン線図:横軸が入力信号の角周波数、縦軸がゲイン(出力の振幅が何倍になるか)
  • 位相線図 :横軸が入力信号の角周波数、縦軸が位相(出力の位相が何度ずれるか)
ボード線図はゲイン線図と位相線図からなる

※通常、ボード線図の横軸は角周波数[rad/s]ですが、実用上は直感的に読みやすくするために横軸を周波数[Hz]で表すこともあります。どちらも単位が異なるだけで、結局は同じものを表しています。角周波数の詳細については、こちらのページをご覧ください。

ボード線図の読み方

横軸の読み方

ボード線図の横軸は、ゲイン線図・位相線図ともに入力信号の角周波数を対数目盛りで表したものとなっています。

ボード線図の横軸は、入力信号の角周波数を対数目盛りで表したもの

対数目盛りなので、一定距離ごとに角周波数が倍々の法則で増えていきます。ちょうど目盛りを「一、十、百、千、万…」と読んでいくイメージですね。

横軸を対数目盛りで表すことで、広い範囲の周波数に対する特性を一気に表現できるのがボード線図の利点の一つです。

ちなみに、ボード線図中で角周波数が10倍になる距離は、1[decade]と表されます。”decade”は普通に読めば「ディケイド」ですが、なぜか制御では慣例的に「デカード」とダサい読み方で呼ばれます。

スポンサーリンク

ゲイン線図の読み方

続いて、ゲイン線図の縦軸の読み方です。ゲイン線図は、横軸にて表された様々な角周波数に対するゲイン(出力の振幅が何倍になるか)を対数目盛りで表したものとなっています。

ゲイン線図は縦軸も横軸も対数目盛り。ただし、縦軸の単位はデシベル。

ただし、単位が[倍]ではなく[dB](デシベル)となっているのがポイントです。慣れていないと読み方がいまいち分かりにくいので、詳しく説明していきましょう。

デシベル表記の基本

デシベルは「ある量が、基準となる量に対して何倍か」を表す単位です。今回の場合は「出力の振幅が、入力の振幅に対して何倍になるか」をデシベル値で考えるわけですね。

まず、1倍はデジベル値で0dBとなります。つまり、基準となる量そのものですね。これを基準として、下図のように10倍ごとにデシベル値が20dBずつ増えていきます

デシベル値と倍率の基本関係

この法則でいくと、1000倍はデシベル値でいくらでしょうか?60dBですね!

なお、-20dBは対数目盛りを左向きに進むことになるので、$\frac{1}{10}$倍を表します。「行って戻ってくると同じ値になる」と考えると当たり前ですね。

※ちなみに音の大きさを表す単位もデシベルですが、これも本質的には同じものです。音の場合は「人間がギリギリ聞こえる大きさの音」を0dBとして、「それに対して何倍の大きさの音か」をデシベル値で表現しています。

代表的なデシベル値

上に出てきた20,40,60dBなどのキリのいいデシベル値は意味がわかりやすいですが、それ以外の値はどのように解釈すればよいでしょうか?ここでは、知っておくと便利な代表的なデシベル値についても紹介しておきます。

まず10dBを考えましょう。これは「2回進むと20dB(10倍)になる値」なので、$\sqrt{10}$≒3.16倍となります。大体3倍ですね。

10dBと倍率の関係

また、6dBは2倍にほぼ等しいことも覚えておくと便利です。

6dBと倍率の関係。6dBは2倍にほぼ等しい。

これらを組み合わせると、大体のデシベル値の倍率を見積もることが可能となります。

例えば26dBは20dB+6dBなので、10倍した後に2倍する、すなわち20倍を表すことが分かります。

26dBと倍率の関係。26dBは20倍にほぼ等しい。

また、16dBは10dB+6dBなので、約3倍した後に2倍する、すなわち約6倍を表すことが分かります。

16dBと倍率の関係。16dBは6倍にほぼ等しい。

デシベル値は足し算で増えていきますが、倍率は掛け算で増えていることに注意してくださいね。

下表に、代表的なデシベル値をまとめます。これらを組み合わせることで、大体のデシベル値は見積もれることでしょう。

デシベル値-20dB0dB3dB6dB10dB20dB
倍率0.1倍1倍$\sqrt{2}$=1.41倍2倍$\sqrt{10}$=3.16倍10倍

以上を踏まえて、先ほどのゲイン線図を読み取ってみましょう。

ゲイン線図の読み取り方

角周波数10[rad/s]を境にグラフが折れ曲がっていますね。

まず、10[rad/s]よりも低い角周波数では、だいたいゲインが0dB(つまり1倍)となっています。よって、10[rad/s]以下の角周波数のsin波を入力した場合、出力されるsin波の振幅は変わらないことが分かります。

次に、10[rad/s]よりも高い角周波数では、角周波数が10倍になるごとに(つまり1[decade]ごとに)ゲインが20dBずつ小さくなっています。よって、10[rad/s]以上の角周波数のsin波を入力した場合、角周波数が10倍になるごとに出力されるsin波の振幅は$\frac{1}{10}$ずつ小さくなることが分かります。

スポンサーリンク

位相線図の読み方

位相線図の縦軸の読み方に移りましょう。位相線図は、横軸にて表された様々な角周波数に対する位相(出力の位相が何度ずれるか)を普通の目盛りで表したものとなっています。

位相線図の例

例として、この位相線図を詳しく読み取ってみましょう。

まず、$10^0=1$[rad/s]よりも低い角周波数では、だいたい位相が0°となっています。よって、1[rad/s]以下の角周波数のsin波を入力した場合、出力されるsin波の位相は変わらないことが分かります。

次に、$10^2=100$[rad/s]よりも高い周波数では、だいたい位相が-90°となっていますね。よって、100[rad/s]以上の角周波数のsin波を入力した場合、出力されるsin波の位相は90°後ろにずれる(遅れる)ことが分かります。縦軸が普通の目盛りなので、読み取りやすいですね!

位相において注意が必要なのは、位相が同じでも信号の周波数によって実質的なずれ(遅れ)の量は変わるという点です。

位相は「元のsin波1個分の長さを360°としたときに、それに対して何度ずれるか」という相対的なものなので、元のsin波の長さが変わればズレの絶対量も変わるというわけです。

信号の位相と周波数の関係

このような相対的な表現であるからこそ、シンプルなグラフでスッキリ位相を表現できているとも言えます。

ボード線図の書き方

読み方はなんとなく分かったけど、そのボード線図はどうやったら得られるの?

と思う方もいると思うので、ここからはボード線図の書き方について解説していきます。

方法1:コンピュータに書いてもらう

今どきは、コンピュータが伝達関数からボード線図を瞬時に書いてくれます。何かシステムの伝達関数があるとき、とりあえずその周波数特性を把握するのに非常に便利です。

今どきは、コンピュータが伝達関数からボード線図を瞬時に書いてくれる

ただし、後で紹介するように、ボード線図は書く上で知っておくと便利な性質を持っています。これを知っていると、システムの理解や制御設計の効率が格段に上がるため、コンピュータに頼り切らず理論的な部分も理解しておくことをおすすめします。

※コンピュータによるボード線図の書き方については、追って解説記事を書く予定です。

方法2:周波数伝達関数から書く

システムの周波数特性は、周波数伝達関数から計算できるのでした。具体的には、伝達関数$G(s)$で表されるシステムの周波数特性は、次のように計算できます。

  • 角周波数$\omega$におけるゲイン=$|G(j\omega)|$
  • 角周波数$\omega$における位相 =$\angle G(j\omega)$

ボード線図の横軸は角周波数$\omega$なので、ゲイン線図に$|G(j\omega)|$を、位相線図に$\angle G(j\omega)$をプロットすればそれがそのままボード線図となります。

周波数伝達関数とボード線図の関係

これがボード線図の書き方の基本ですが、ゲイン$|G(j\omega)|$や位相$\angle G(j\omega)$の計算は複素数や複素平面を考える必要があるため、結構めんどくさいんですよね・・・。

ボード線図は、そんなことしなくてもお手軽に書ける便利な性質を持っているので、それについて紹介していきましょう。

スポンサーリンク

方法3:基本要素の組み合わせで書く

次のように複数のシステムを組み合わせた際、システム全体のボード線図は個別のボード線図を単純に足し合わせたものとなります。

2つのシステムを直列に組み合わせたブロク線図

複雑な高次システムも、結局は伝達関数の基本要素(1次遅れ要素・2次遅れ要素・積分要素・比例要素など)の組み合わせによって表現できます。よって、基本要素のボード線図を知っていれば、その組み合わせだけで様々なシステムに対応できるというわけです。

例1

次の2つのシステムを組み合わせた際の、ボード線図を考えてみましょう。

$$G_1(s) =\frac{1}{s+1},\qquad G_2(s)=\frac{1}{s}$$

$G_1(s)$は1次システム、$G_2(s)$は積分システムですね。$G_1(s),G_2(s)$それぞれのボード線図と、それらを組み合わせた$G_1(s)G_2(s)$のボード線図は次のようになります。

1次システムと積分システムを組み合わせたシステムのボード線図

$G_1(s)$のボード線図に$G_2(s)$が足されることで、ゲイン線図の傾きが全体的に増加し、位相線図の値が全体的に減少していることが分かります。ゲイン・位相ともに、確かに$G_1(s)$と$G_2(s)$の値が足されたものになっていることも確認してみてくださいね。

例2

もう少し複雑な例として、次の2つのシステムの組み合わせも考えてみます。

$$G_1(s) =\frac{100}{s+1},\qquad G_2(s)=\frac{s}{0.01s+1}$$

$G_1(s),G_2(s)$それぞれのボード線図と、それらを組み合わせた$G_1(s)G_2(s)$のボード線図は次のようになります。

複数のシステムを組み合わせたシステム全体のボード線図の例

このように、複雑なシステムでも単純なシステムに分解し、それぞれのボード線図を足し合わせることで、比較的簡単にボード線図を求めることができます。特に伝達関数の基本要素のボード線図を知っておけば、それがそのまま複雑なシステムに応用できるというわけですね。

※基本要素のボード線図については、追って個別の記事で解説する予定です。

ボード線図の利点

最後に、ボード線図の利点をまとめておきます。ボード線図が周波数特性を表す図として最も広く用いられている理由を把握しておきましょう。

スポンサーリンク

利点1:システムの周波数特性をひと目で把握できる!

ボード線図は、とにかく見やすいのが最大の利点です。様々な周波数に対するシステムの特性を、これほどコンパクトかつ分かりやすく表現している図は他にありません。

まず、横軸を対数目盛りで表すことで、広い範囲の周波数に対する特性を一気に表現できています。さらに、横軸を統一しつつゲインと位相を別の図で表現することで、複雑になりがちな周波数特性を分かりやすく表現できています。

利点2:システムが複雑でも書きやすい!

ボード線図は読みやすいだけでなく書きやすいため、実用性が非常に高いと言えます。これは先ほど説明した通り、複数のシステムの組み合わせを、ボード線図の足し算で表現できるからですね。

ちなみにこの足し算の法則が成り立つのは、倍率を表すゲインを対数目盛りで表しているためです。これにより、倍率の掛け算がゲインの足し算に変換され、グラフの足し算だけで全て辻褄が合うようになっているわけです。よくできてますねー。

以上、ボード線図の読み方・書き方と利点の解説でした!

このページで解説したのは、ボード線図のごく基本的な性質にとどまります。実践に向けては、理想的なボード線図の形状や、伝達関数の基本要素のボード線図について理解を深める必要があります。これらについては、追って解説記事を書く予定ですので、少々お待ちください。

このページのまとめ
  • ボード線図は、システムの周波数特性を表現する図
  • 振幅変化を示すゲイン線図と、位相変化を示す位相線図が2つセットになっている
  • 広い範囲の周波数に対する特性を分かりやすく表現できるのが利点
  • 複数のシステムが組み合わさった場合、個々のシステムのボード線図を足し合わせるだけでシステム全体のボード線図が得られるのも利点

コメント