このページでは、制御システムの基本構成・ブロック線図・制御工学の用語について解説します。

用語 | 文字 | 意味 | こうも呼ばれる |
---|---|---|---|
制御入力 | $u$ | 制御対象に与えられる入力 | 入力、操作量 |
制御量 | $y$ | 制御対象から得られる出力 (制御したい信号) | 出力 |
外乱 | $d$ | 意図しない入力 | ノイズ |
目標値 | $r$ | 制御量の目標値 | 指令値 |
誤差 | $e$ | 目標値と制御量の差 | 偏差、エラー |
※上記は全て時間の関数
ブロック線図超入門
ブロック線図の構成要素
制御工学というと、次のようなブロック線図をイメージする方が多いのではないでしょうか。

ブロック線図は、システムの構成を直感的に表すものとして、制御工学で頻繁に使われます。
ブロック線図において、ブロックはシステム、矢印は信号を表します。ブロックは実体のあるもの、矢印は実体のないもの、とイメージすればOKです。
システムは、時々刻々何らかの入力信号を受け取り、それに応じた何らかの出力信号を返します。その様子が、次のようにブロックと矢印で表されるわけですね。

制御では、入力信号・出力信号は単に入力・出力と呼ばれます。
次のように、あるシステムの出力が他のシステムの入力になることがほとんどです。

システムの表現
システムの特性、すなわち入力と出力の関係を表す数式は、数式モデル(または単にモデル)と呼ばれます。数式モデルは、微分方程式で表されることがほとんどです。

システムを表すブロックには、システムの名前が書かれることもあれば、数式モデルが直接書かれることもあります。

信号の表現
信号を表す矢印には、信号の名前や記号(例:\(x\))を添えます。
基本的に信号は時々刻々変化するものなので、全て時間の関数です。ただし、ブロック線図上では簡単のために\(x(t)\)ではなく、単に\(x\)と表現されることがほとんどですので注意してください。

ちなみに、入出力が複数存在する場合もあります。

複数の信号をベクトルにまとめて1つの矢印にすることもあります。

基本的なブロック線図と制御用語
それでは、制御における典型的なブロック線図を例に、ブロック線図の読み方と制御用語について理解を深めていきましょう。次のような、エアコンによる室温制御を考えます。

システムが動くメカニズムを順に確認していきましょう。まず、システムの主役である制御対象とその周辺の信号に注目します。制御対象は…部屋ですね!

今、制御したいものは室温ですね。室温は部屋の情報なので、部屋のブロックから出てくる矢印で表されます。このように制御の目的となる信号は、制御量と呼ばれます。(※単に「出力」と呼ぶことが多いですが)
一方で、室温を調整するために部屋に作用するものは、エアコンからの熱ですね。これは、部屋のブロックに入る矢印で表されます。このように、制御量を操作するために制御対象に与えられる入力は、制御入力と呼ばれます。
ただ、エアコンの熱だけではなく、外からの熱も室温に影響を及ぼしますよね。このように意図せずシステムに作用する入力は外乱と呼ばれ、システムのブロックへ入る矢印で表されます。
ここまでの内容をまとめると、次のようになります。
用語 | 文字 | 意味 | こうも呼ばれる |
---|---|---|---|
制御対象 | 制御したいシステム | プラント | |
制御量 | $y$ | 制御対象から得られる出力 (制御したい信号) | 出力 |
制御入力 | $u$ | 制御対象に与えられる入力 | 入力、操作量 |
外乱 | $d$ | 意図しない入力 | ノイズ |
次に、制御の主役であるエアコンに注目しましょう。

エアコンの役割は、現在の部屋の状態に応じて部屋に熱を供給することですね。このように、与えられた信号から制御入力を生成するシステムを制御器と呼びます。
今回の場合、エアコンに与えられる信号は、設定温度と室温の温度差です。これを基準に、部屋に与える(奪う)熱の量が決定されているわけですね。制御用語では、設定温度は目標値、温度差は誤差と呼ばれます。
まとめると、次の通りですね。
用語 | 文字 | 意味 | こうも呼ばれる |
---|---|---|---|
制御器 | 制御入力を生成するシステム | コントローラ | |
目標値 | $r$ | 制御量の目標値 | 指令値 |
誤差 | $e$ | 目標値と制御量の差 | 偏差、エラー |
以上の用語を使って一般化したブロック線図が、こちらです。

以上、制御システムの基本構成・ブロック線図・制御工学の用語についての解説でした。それぞれの用語は学習を進めると自然と身につくと思いますが、同じ意味でも様々な呼ばれ方があることは覚えておいてくださいね。
※こちらのページでは、実用シーンでよく見るブロック線図について解説していますので、合わせてご覧ください
コメント